本を読み漁っていたのはいつのことか。もう20年くらい前だろうか。
遠藤周作、三浦綾子、山崎豊子、曽野綾子、宮尾登美子、永井路子 がとても好きだった。 そう、もう今はご高齢もしくは亡くなっていて新作を読む機会がない。自然と本屋から足が遠のいてしまった。
そして上記の作家さんのお話は、命や信仰、使命を考えさせられる作品が多く、むさぼるように読んだ後にはかなり疲弊してしまって、回復にすごく時間がかかる。
彼らの作品を、”シリアス”グループと呼ぼう。
それに対して、海外の作家さんや、本屋の新作コーナーで紹介されているものなど、エンターテイメント性が高いもの、それを”エンタメ”グループと呼ぶ。
そして、宮本輝作品は、唯一無二 ”そよ風”グループ。
もちろんこの3種に分類しきれるものじゃないけど、大きくわけてこの3種を順番に読むことが私の中の絶妙なバランス。
シリアスなものを読んで、そよ風 宮本輝作品で心を軽くし、その他作品を読む。そうすると不思議と、しっかり考えたいシリアスなテーマの作品が読みたくなり・・・の繰り返し。
上述した通り、”シリアス”グループの新作がなくなり、このループも空中分解。
そんなこんなでここ5年ほどは小説を手に取ることはなかった。
ビジネス書などは読んでいたけど・・・
そして2021年。
ずっと前に購入したままになっていた本を旅先で読み切ったら、読書熱がぶわわわわって溢れてきた!この感覚、ずっとわすれてたヾ(*´∀`*)ノ
この時読んでいたのは、西川司 「異邦の仔」。実体験をもとにしたサスペンスということで若干ハラハラのシリアス路線。
というわけで、ぶわわわわっと沸き起こったのは 宮本輝作品を読みたい!そよ風を感じたい!だったのです。
というわけで、今回手にとったのは
「草花たちの静かな誓い」
宮本輝作品のファンは世の中に山ほどいらっしゃって今さら語る必要もないけど、2011年 『三十光年の星たち』以来に読んだのでもう心地よさが半端なかった!
紡がれる描写のバランスが素晴らしく、頭の中で思い描くのに必要十分であり多すぎない描写。
例えばアメリカの邸宅の描写なんて、言葉での描写がするする~っと心にはいってきて、家の間取り図、庭の様子を自然に描き出すのよね。
その心地よさといったら、なんといい現わしていいやら。
途中、辛い展開もあったけれど、タイトルにもある通り草花の息遣いも感じるような作品で、読み終わった後は心がすーーーっと軽くなって爽やかな余韻に包まれたのでした。
また宮本輝作品を読みたい!
でも、どの作品を読んだことがあるんだっけ? ちゃんとまとめたことなかったのでリスト化してみたら、まだまだ読んでない作品がいっぱい!
流転シリーズは完結してから読もうと温存していたのだけど、今年9部をもって完結したとのことで大事に読むこととして、まずはそれ以外の作品を読み進めていこう。
ちょうど季節も読書の秋!久しぶりの読書熱が心地よい!
年 | タイトル | 保有 |
1978 | 『螢川』筑摩書房、1978年 のち角川文庫、 『泥の河・螢川・道頓堀川』ちくま文庫、 『螢川・泥の河』新潮文庫 |
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1979 | 『幻の光』新潮社、1979年 のち文庫 | |
1980 | 『二十歳の火影』講談社、1980年 のち文庫 | |
1981 | 『星々の悲しみ』文藝春秋、1981年 のち文庫 | o |
1981 | 『道頓堀川』筑摩書房、1981年 のち角川文庫、 『泥の河・螢川・道頓堀川』ちくま文庫、新潮文庫 |
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1982 | 『錦繍』新潮社、1982年 のち文庫 | o電子 |
1982 | 『青が散る』文藝春秋、1982年 のち文庫 | o |
1983 | 『命の器』講談社、1983年 のち文庫 | |
1984 | 『流転の海』(流転の海 第1部)福武書店、1984年 のち新潮文庫 | o |
1984 | 『春の夢』文藝春秋、1984年 のち文庫 | o |
1985 | 『避暑地の猫』講談社、1985年 のち文庫 | o |
1985 | 『ドナウの旅人』上・下、朝日新聞社、1985年 のち新潮文庫 | o |
1986 | 『夢見通りの人々』新潮社、1986年 のち文庫 | o |
1986 | 『葡萄と郷愁』光文社、1986年 のち角川文庫、文春文庫、光文社文庫 | o |
1986 | 『優駿』上・下、新潮社、1986年 のち文庫 | o |
1987 | 『五千回の生死』新潮社、1987年 のち文庫 | |
1988 | 『花の降る午後』角川書店、1988年 のち文庫、講談社文庫 | o |
1988 | 『異国の窓から』光文社、1988年 のち角川文庫、文春文庫、光文社文庫 | |
1989 | 『愉楽の園』文藝春秋、1989年 のち文庫 | o |
1989 | 『海岸列車』上・下、毎日新聞社、1989年 のち文春文庫 | o |
1990 | 『真夏の犬』文藝春秋、1990年 のち文庫 | o |
1991 | 『海辺の扉』上・下、角川書店、1991年 のち文庫、中公文庫、文春文庫 | o |
1991 | 『ここに地終わり 海始まる』上・下 講談社、1991年 のち文庫 | o |
1992 | 『彗星物語』上・下、角川書店、1992年 のち文庫、文春文庫 | o |
1992 | 『地の星』(流転の海 第2部)新潮社、1992年 のち文庫 | |
1993 | 『宮本輝全集』全14巻、新潮社、1992年4月-1993年5月。 | |
1993 | 『オレンジの壺』上・下、光文社、1993年 のち講談社文庫、光文社文庫 | o |
1993 | 『本をつんだ小舟』文藝春秋、1993年 のち文庫 | o |
1994 | 『朝の歓び』上・下、講談社、1994年 のち文庫 | o |
1995 | 『人間の幸福』幻冬舎、1995年 のち文庫 | o |
1995 | 『生きものたちの部屋』新潮社、1995年 のち文庫 | |
1996 | 『私たちが好きだったこと』新潮社、1995年 のち文庫 | o |
1996 | 『胸の香り』文藝春秋、1996年 のち文庫 | |
1996 | 『血脈の火』(流転の海 第3部)新潮社、1996年 のち文庫 | o |
1997 | 『焚火の終わり』上・下、集英社、1997年 のち文庫 | o |
1998 | 『月光の東』中央公論社、1998年 のち文庫、新潮文庫 | o |
1999 | 『草原の椅子』上・下、毎日新聞社、1999年 のち幻冬舎文庫、新潮文庫 | o |
2000 | 『睡蓮の長いまどろみ』上・下、文藝春秋、2000年 のち文庫 | o |
2001 | 『森のなかの海』上・下、光文社、2001年 のち文庫 | o |
2001 | 『血の騒ぎを聴け』新潮社、2001年 のち文庫 | |
2002 | 『天の夜曲』(流転の海 第4部)新潮社、2002年 のち文庫 | |
2003 | 『星宿海への道』幻冬舎、2003年 のち文庫 | o |
2003 | 『約束の冬』上・下、文藝春秋、2003年 のち文庫 | o |
2005 | 『にぎやかな天地』上・下、中央公論新社、2005年 のち講談社文庫 2012 | o |
2007 | 『花の回廊』(流転の海 第5部)新潮社、2007年 のち文庫 | |
2007 | 『はじめての文学 宮本輝』文藝春秋、2007年 | |
2007 | 『宮本輝全短篇』全2巻、集英社 2007年 | |
2009 | 『骸骨ビルの庭』上・下 講談社、2009年 のち文庫 | o |
2010 | 『三千枚の金貨』上・下 光文社、2010年 のち文庫 | o |
2011 | 『三十光年の星たち』上・下 毎日新聞社、2011年 のち新潮文庫 | o |
2011 | 『慈雨の音』(流転の海 第6部) 新潮社、2011年 のち新潮文庫 | |
2011 | 『真夜中の手紙』新潮社、2011年 | |
2012 | 『水のかたち』上・下 集英社、2012年 | |
2014 | 『いのちの姿』集英社、2014年 | |
2015 | 田園発 港行き自転車 上下 | |
2016 | 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫) | |
2018 | 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫) | |
2020 | 草花たちの静かな誓い (集英社文庫) | o電子 |
2020 | 灯台からの響き (集英社文芸単行本) | |
2021 | 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫) | |
1997-2000 | 『ひとたびはポプラに臥す』全6巻、講談社、1997年-2000年 のち文庫 |
※一部の書籍一覧は宮本輝 - Wikipediaより抜粋